「食の安全を守る人々」
先日、前橋シネマハウスで「食の安全を守る人々」を観ました。
うちでは15年前くらいまでミツバチを飼っていました。
春には菜の花・桜・野バラ・アカシアなどの蜜が毎年5升ほど採れ、美しい色の自然の恵みの香り、それぞれの味が楽しみでした。
しかし、特に最後2年ほどは、ミツバチがなぜか帰ってこなくなり、巣が空っぽになることが増えてきました。周囲の養蜂家でも同じような現象が起こり、またミツバチでは起こらないはずの蜂アレルギーが広がりました。
あとで思い返すと、農薬が原因でした。
アインシュタインは、「ミツバチがいなくなる時には地球が滅びる」と言っています。
小麦に散布するある種の農薬は、蜂の脳を破壊して巣に帰れなくなるというのです。そして、それは同時に人間の脳神経にも大きく影響することがわかってきましたので、パンを主食とするヨーロッパでは現在は使われなくなりました。
しかし、日本では今でもその農薬は政府に許可され使われ続けています。
学校給食を有機食品に変えてほしい、と、生活クラブやお母さんたちのグループなどが一生懸命に活動していますが、まだ日本の食品の状況は「農薬まみれ」といっても過言ではありません。
長野県、上田市の幼稚園の園長先生は、農薬でアレルギー反応を起こし救急車で病院に運ばれました。その幼稚園の園児たちの絵は、近所で農薬を散布した日はみんなひどく荒れておかしいそうです。子どもの脳神経への影響が恐ろしいです。
千葉県のいすみ市では学校給食を有機の野菜とお米に変えました。
お米は深水法無農薬米を指導する方がいて契約栽培の農家に市が補助をしています。
赤城の田んぼで、私たちは30年前から松村平八郎さんのご指導によって、江戸時代の無農薬農法「深水法」を始めました。
そのきっかけは自分達が安全な物を食べるということではなく、日本の食品、日本中の農業が農薬まみれでは取返しのつかない壊滅状態になると思ったからです。
日本で、学校でも落ち着きのない子供たち、発達障害と言われる子供たちが急激に増えてきているのは農薬も見えない形で影響しているのではないかと、映画の中で言われていました。
この映画「食の安全を守る人々」は一人でも多くの方に見て、どんどん広まって欲しいと思っています。
そして監督の一言は印象的でした。
「日本人はなかなか信用しない。新聞やテレビで言っていないから・・・」
日本人の主な傾向は、お上信仰です。間違っていても周りの多数のことを信じ続ける人が多いのです。子ども達の未来のためには、大人が良い方向に気づくしかありません。
また今回映画を観て初めて知ったのですが、韓国ではすでに多くの小中学校で、無償で有機栽培の食材の給食が提供されているそうです。ソウル市内では2021年から全ての小、中、高等学校で開始されました。大都市でも決して不可能ではないのです。
「沈黙の春」の作者レイチェル・カーソンが世界に問いかけてから50年以上になります。
有吉佐和子の「複合汚染」は若かった私たちに道を開いてくれました。
空を見上げると、花も木々も鳥もネコも命は輝いています。
地球全体が、命輝く星に戻ること、人間の心と体と精神が一つとなって何が大切なのかに気づいていく人たちが増えることを願ってやみません。
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この映画について、セミナー参加で畑のメンバーのYさんも要点をいくつかまとめてくださいました。長くなりますが、次にご紹介します。
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映画「食の安全を守る人々」の記録
監督・編集 原村政樹
プロデューサー 山田正彦(元農林水産大臣)
企画制作: 一般社団法人 不土不二 配給:きろくびと
• 映画を作るきっかけは?
「アメリカで行われた『ラウンドアップ裁判』です。除草剤ラウンドアップを長年使っていたらがんになったとして、カリフォルニア在住の末期がんの男性が農薬大手モンサントを提訴し、2018年、陪審はモンサントに日本円で約320億円の支払いを命じた。危険性を認識しながら、人に安全、環境に優しいとのうたい文句で販売していたのは非常に悪質だと、陪審が認めたわけです」
「ラウンドアップは日本でもたくさん使用されています。ところが、この裁判を日本のテレビや新聞はほとんど報じませんでした。裁判の後、私は農薬の危険性を説いて回りましたが、話をする先々で『いくら山田さんがそう言っても、新聞、テレビが報道していないので、信用できない』と言われたんです。だったら、事実を映像にして訴えれば、みんな私の話を信用してくれるのではないか、と考えました。たまたま原村監督とお会いする機会があり、映画の話を持ち掛けました」
★作品を通して訴えたいこと
・農作物に残留する残留農薬の問題。日本は農薬大国。一方、発達障害児はどんどん増え、数年前の文部科学省の調査だと、小中学生の6.5%が発達障害の可能性があるとされている。アトピーや食物アレルギーも、もの凄い勢いで増えている。そして、いずれも農薬との関係が疑われている。
★世界と逆行している日本の農業
合理化にこだわる日本の農政は、世界の流れと逆行している。他の問題でも同様である。例えば遺伝子組み換え作物は、アメリカでは作付面積が完全に頭打ち。ロシアは2016年に作付けを禁止。また、日本では昨年末、農家が種を自家採取することを広範に禁止する改正種苗法が国会で成立した。地域の農業を守る自家採取を原則、禁止している国は、世界の中では日本とイスラエルだけ。
国は、企業に種子ビジネスで儲けさせようと、主要農作物の種の安定供給を都道府県に義務付けた種子法を2018年に廃止した。
それに不安を抱いた住民が次々と声を上げた結果、種子法の内容を受け継いだ種子条例がすでに28道県で成立している。
学校給食に有機食材を使うよう自治体に求める署名活動も全国各地で起きています。地方が変われば国も変わる。だから地方から変えて行こう。そういう運動を今、仲間と一緒にやっている。
●韓国の小学校で普及するオーガニック給食の現状など幅広く取材
• 以下、ジャーナリストの猪瀬聖さんによる山田正彦さんへのインタビュー記事より
大臣になったきっかけは?
29歳の時に、長崎県の五島列島で牧場を開いた経験が原点。司法試験に合格し司法修習生として長崎地裁に配属になったが、子どものころから牛を飼いたいと思っていたので、司法修習中にお金を工面して牧場を開いた。
当時は、国が畜産業の大型化、近代化、合理化を強力に推進していたので、牧場を大きくしたいと言えば、どんどんお金を借りることができた。ところがやがて日本をオイルショックが襲い、大農場は経営が立ち行かなくなり、億の借金を背負った。その後弁護士事務所を開いて中小企業の借金問題、サラ金問題に取り組み、暴力金融と徹底的に闘った。借金は何とか返済できた。しかし畜産仲間のうち2人が、借金を返せず自殺した。
「日本の農政は間違っている」とその時、強く思った。ちょうど、農薬問題を扱ったレイチェル・カーソンのベストセラー『沈黙の春』や有吉佐和子の『複合汚染』が話題になっていた時期だった。
「政治家になって日本の農政を変えよう」と、衆院選に立候補した。
議員になってからは、EU諸国やアメリカなど海外を視察して回り、各国の農業政策を勉強しました。農水大臣(2010年6月-2010年9月)に就任しましたが、その時に農業者戸別所得補償制度を実現することができた。EU型の戸別所得補償制度を導入する、と。翌年、農家の所得は17%上がりましたが、私が大臣を辞めたら、同制度は廃止された。
●ゲノム編集食品
河田昌東さん・・・1940年秋田県生まれ。東京教育大学理学部卒、名古屋大学理学部大学院博士課程満了、名古屋大学理学部助手。専門は分子生物学、環境科学。退職後は、四日市公害や三重県藤原町(現・いなべ市)のセメント公害、台湾、韓国、中国、フィリピンなど海外の公害調査や裁判支援。1990年からはチェルノブイリ原発事故被災者の救援活動、現在は福島原発事故被災地の調査と支援活動にも携わる。「遺伝子組み換え食品を考える中部の会」代表。著書(共著含む)に『遺伝子組換えナタネ汚染』(緑風出版,2010)『チェルノブイリの菜の花畑から』(創森社,2011)『チェルノブイリと福島』(緑風出版,2011)など。
遺伝子の総体を表す「ゲノム」。これを人為的に壊したり入れ替えたりして食料や医療に役立てようとするのがゲノム編集技術。標的遺伝子を自在に切断できる。
食品に含まれる抗生物質カナマイシンなどは私達の腸内で必要な細菌までかなり殺していることなども考えられる。現在ゲノム編集の食品は、日本で河田さんが調べているだけでも多収穫のコメ、ソラニンのないジャガイモ、シャインマスカット、トマト、鶏卵等13種類もの新しい品種が用意されている。( 別表写真参照)いずれも、キリン理研、農研機構などで開発されている。
カナマイシンなど私たちが日常病気の治療のために使われている抗生物質に耐性の遺伝子が除去されずに含まれている。
ゲノム編集食品を食べ続けると腸内細菌に取り込まれて遺伝子の水平移動が起こり、私達自身が抗生物質耐性菌の保持者になってしまう。
その結果、感染症の病気になって抗生物質を使っても効かなくなってしまう。
遺伝子組み換えの大豆、害虫抵抗性のあるトウモロコシを飼料として与えた家畜の糞便からは、既に除草剤耐性菌や抗生物質耐性菌が見つかっている。
人の便からもグリホサート除草剤耐性菌が見つかっている。
●グリホサート
世界中で最も使われている除草剤の主成分「グリホサート」
グリホサートは1970年代にアメリカで開発されて以降、世界で大量に使い続けられているが、人体や環境への悪影響が次々と明らかになるにつれ、世界では規制強化が進んでいる。しかし、日本は逆に規制を緩和。世界の流れに逆行している。
以前、フランスのクズサイエンスに髪の毛を送って山田さん自身の髪の毛の検査してもらったところ、グリホサートが検出された。
国会議員23人にも検査し、(川田龍平議員が映画に登場)約7割の19人から検出された。
日本人のかなりの人がラウンドアップの主成分グリホサートの耐性菌に感染しているかもしれない。
既に毎年8000人も抗生物質耐性菌で亡くなっていることはコロナ以上に大変なことである。
禁止を決めたのは、ルクセンブルク、ドイツ、オーストリア、チェコ、フランス、マルタ、メキシコ、フィジー、トーゴ。禁止へ向かっているのはイタリア、タイ、ベトナム、コロンビア。
●ドウェイン・ジョンソンさん
米カルフォルニア在住で学校の用務員だった頃校庭に「ラウンドアップ」のジェネリック製品を繰り返し散布していた。その後末期がんと診断され、がんになったのは農薬大手モンサント(Monsanto)の除草剤「ラウンドアップ(Roundup)」のせいだと同社を提訴した裁判で、陪審は10日、モンサントに約2億9000万ドル(約320億円)の支払いを命じる評決を出した。同様の訴訟がアメリカでは数万件に増えている。
ジョンソンさんの弁護団の一員で故ロバート・ケネディ(Robert Kennedy)元司法長官の息子に当たるロバート・ケネディ・ジュニア(RobertF. Kennedy Jr)氏は、「この評決をきっかけに、今後、新たな裁判が次々に起こるだろう」と述べた。この年、モンサントはドイツの製薬会社バイエルに買収されたばかりだった。
●上田市内 こどもの園園長 田口 操さん
自らも科学物質過敏症を持つ。
農薬散布する前と後の子供の絵を比較。明らかに脳に影響があるのでは?
ご自身も科学物質過敏症で農薬の影響を肌で感じている。発達障害を引き起こす神経毒である有機リン・ネオニコチノイド農薬が、子どもたちの尿から検出されている。様々な科学的データーをもとに、活動している。ネオニコチノイド系農薬は、昆虫の脳や中枢神経内にある神経伝達物質アセチルコリンの正常な働きを妨害し、異常興奮を引き起こして死に至らしめる神経毒で、日本でも稲作や野菜・果物の栽培に広く使われている。
欧州連合(EU)は2013年ごろから徐々に規制を強化。2018年には、日本でも使用が認められている主要ネオニコチノイド系農薬のうち、クロチアニジンなど3種類の屋外での使用を禁止。チアクロプリドも今年4月に農薬登録を失効させることを決めた。EUとは別に、フランスは2018年、ネオニコチノイド系農薬の使用を全面禁止した。米国も2015年、環境保護庁(EPA)がイミダクロプリドなど4種類のネオニコチノイド系農薬について、新たな農作物への使用や空中散布など新たな使用法を認めない方針を決めた。
ー以上
うちでは15年前くらいまでミツバチを飼っていました。
春には菜の花・桜・野バラ・アカシアなどの蜜が毎年5升ほど採れ、美しい色の自然の恵みの香り、それぞれの味が楽しみでした。
しかし、特に最後2年ほどは、ミツバチがなぜか帰ってこなくなり、巣が空っぽになることが増えてきました。周囲の養蜂家でも同じような現象が起こり、またミツバチでは起こらないはずの蜂アレルギーが広がりました。
あとで思い返すと、農薬が原因でした。
アインシュタインは、「ミツバチがいなくなる時には地球が滅びる」と言っています。
小麦に散布するある種の農薬は、蜂の脳を破壊して巣に帰れなくなるというのです。そして、それは同時に人間の脳神経にも大きく影響することがわかってきましたので、パンを主食とするヨーロッパでは現在は使われなくなりました。
しかし、日本では今でもその農薬は政府に許可され使われ続けています。
学校給食を有機食品に変えてほしい、と、生活クラブやお母さんたちのグループなどが一生懸命に活動していますが、まだ日本の食品の状況は「農薬まみれ」といっても過言ではありません。
長野県、上田市の幼稚園の園長先生は、農薬でアレルギー反応を起こし救急車で病院に運ばれました。その幼稚園の園児たちの絵は、近所で農薬を散布した日はみんなひどく荒れておかしいそうです。子どもの脳神経への影響が恐ろしいです。
千葉県のいすみ市では学校給食を有機の野菜とお米に変えました。
お米は深水法無農薬米を指導する方がいて契約栽培の農家に市が補助をしています。
赤城の田んぼで、私たちは30年前から松村平八郎さんのご指導によって、江戸時代の無農薬農法「深水法」を始めました。
そのきっかけは自分達が安全な物を食べるということではなく、日本の食品、日本中の農業が農薬まみれでは取返しのつかない壊滅状態になると思ったからです。
日本で、学校でも落ち着きのない子供たち、発達障害と言われる子供たちが急激に増えてきているのは農薬も見えない形で影響しているのではないかと、映画の中で言われていました。
この映画「食の安全を守る人々」は一人でも多くの方に見て、どんどん広まって欲しいと思っています。
そして監督の一言は印象的でした。
「日本人はなかなか信用しない。新聞やテレビで言っていないから・・・」
日本人の主な傾向は、お上信仰です。間違っていても周りの多数のことを信じ続ける人が多いのです。子ども達の未来のためには、大人が良い方向に気づくしかありません。
また今回映画を観て初めて知ったのですが、韓国ではすでに多くの小中学校で、無償で有機栽培の食材の給食が提供されているそうです。ソウル市内では2021年から全ての小、中、高等学校で開始されました。大都市でも決して不可能ではないのです。
「沈黙の春」の作者レイチェル・カーソンが世界に問いかけてから50年以上になります。
有吉佐和子の「複合汚染」は若かった私たちに道を開いてくれました。
空を見上げると、花も木々も鳥もネコも命は輝いています。
地球全体が、命輝く星に戻ること、人間の心と体と精神が一つとなって何が大切なのかに気づいていく人たちが増えることを願ってやみません。
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この映画について、セミナー参加で畑のメンバーのYさんも要点をいくつかまとめてくださいました。長くなりますが、次にご紹介します。
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映画「食の安全を守る人々」の記録
監督・編集 原村政樹
プロデューサー 山田正彦(元農林水産大臣)
企画制作: 一般社団法人 不土不二 配給:きろくびと
• 映画を作るきっかけは?
「アメリカで行われた『ラウンドアップ裁判』です。除草剤ラウンドアップを長年使っていたらがんになったとして、カリフォルニア在住の末期がんの男性が農薬大手モンサントを提訴し、2018年、陪審はモンサントに日本円で約320億円の支払いを命じた。危険性を認識しながら、人に安全、環境に優しいとのうたい文句で販売していたのは非常に悪質だと、陪審が認めたわけです」
「ラウンドアップは日本でもたくさん使用されています。ところが、この裁判を日本のテレビや新聞はほとんど報じませんでした。裁判の後、私は農薬の危険性を説いて回りましたが、話をする先々で『いくら山田さんがそう言っても、新聞、テレビが報道していないので、信用できない』と言われたんです。だったら、事実を映像にして訴えれば、みんな私の話を信用してくれるのではないか、と考えました。たまたま原村監督とお会いする機会があり、映画の話を持ち掛けました」
★作品を通して訴えたいこと
・農作物に残留する残留農薬の問題。日本は農薬大国。一方、発達障害児はどんどん増え、数年前の文部科学省の調査だと、小中学生の6.5%が発達障害の可能性があるとされている。アトピーや食物アレルギーも、もの凄い勢いで増えている。そして、いずれも農薬との関係が疑われている。
★世界と逆行している日本の農業
合理化にこだわる日本の農政は、世界の流れと逆行している。他の問題でも同様である。例えば遺伝子組み換え作物は、アメリカでは作付面積が完全に頭打ち。ロシアは2016年に作付けを禁止。また、日本では昨年末、農家が種を自家採取することを広範に禁止する改正種苗法が国会で成立した。地域の農業を守る自家採取を原則、禁止している国は、世界の中では日本とイスラエルだけ。
国は、企業に種子ビジネスで儲けさせようと、主要農作物の種の安定供給を都道府県に義務付けた種子法を2018年に廃止した。
それに不安を抱いた住民が次々と声を上げた結果、種子法の内容を受け継いだ種子条例がすでに28道県で成立している。
学校給食に有機食材を使うよう自治体に求める署名活動も全国各地で起きています。地方が変われば国も変わる。だから地方から変えて行こう。そういう運動を今、仲間と一緒にやっている。
●韓国の小学校で普及するオーガニック給食の現状など幅広く取材
• 以下、ジャーナリストの猪瀬聖さんによる山田正彦さんへのインタビュー記事より
大臣になったきっかけは?
29歳の時に、長崎県の五島列島で牧場を開いた経験が原点。司法試験に合格し司法修習生として長崎地裁に配属になったが、子どものころから牛を飼いたいと思っていたので、司法修習中にお金を工面して牧場を開いた。
当時は、国が畜産業の大型化、近代化、合理化を強力に推進していたので、牧場を大きくしたいと言えば、どんどんお金を借りることができた。ところがやがて日本をオイルショックが襲い、大農場は経営が立ち行かなくなり、億の借金を背負った。その後弁護士事務所を開いて中小企業の借金問題、サラ金問題に取り組み、暴力金融と徹底的に闘った。借金は何とか返済できた。しかし畜産仲間のうち2人が、借金を返せず自殺した。
「日本の農政は間違っている」とその時、強く思った。ちょうど、農薬問題を扱ったレイチェル・カーソンのベストセラー『沈黙の春』や有吉佐和子の『複合汚染』が話題になっていた時期だった。
「政治家になって日本の農政を変えよう」と、衆院選に立候補した。
議員になってからは、EU諸国やアメリカなど海外を視察して回り、各国の農業政策を勉強しました。農水大臣(2010年6月-2010年9月)に就任しましたが、その時に農業者戸別所得補償制度を実現することができた。EU型の戸別所得補償制度を導入する、と。翌年、農家の所得は17%上がりましたが、私が大臣を辞めたら、同制度は廃止された。
●ゲノム編集食品
河田昌東さん・・・1940年秋田県生まれ。東京教育大学理学部卒、名古屋大学理学部大学院博士課程満了、名古屋大学理学部助手。専門は分子生物学、環境科学。退職後は、四日市公害や三重県藤原町(現・いなべ市)のセメント公害、台湾、韓国、中国、フィリピンなど海外の公害調査や裁判支援。1990年からはチェルノブイリ原発事故被災者の救援活動、現在は福島原発事故被災地の調査と支援活動にも携わる。「遺伝子組み換え食品を考える中部の会」代表。著書(共著含む)に『遺伝子組換えナタネ汚染』(緑風出版,2010)『チェルノブイリの菜の花畑から』(創森社,2011)『チェルノブイリと福島』(緑風出版,2011)など。
遺伝子の総体を表す「ゲノム」。これを人為的に壊したり入れ替えたりして食料や医療に役立てようとするのがゲノム編集技術。標的遺伝子を自在に切断できる。
食品に含まれる抗生物質カナマイシンなどは私達の腸内で必要な細菌までかなり殺していることなども考えられる。現在ゲノム編集の食品は、日本で河田さんが調べているだけでも多収穫のコメ、ソラニンのないジャガイモ、シャインマスカット、トマト、鶏卵等13種類もの新しい品種が用意されている。( 別表写真参照)いずれも、キリン理研、農研機構などで開発されている。
カナマイシンなど私たちが日常病気の治療のために使われている抗生物質に耐性の遺伝子が除去されずに含まれている。
ゲノム編集食品を食べ続けると腸内細菌に取り込まれて遺伝子の水平移動が起こり、私達自身が抗生物質耐性菌の保持者になってしまう。
その結果、感染症の病気になって抗生物質を使っても効かなくなってしまう。
遺伝子組み換えの大豆、害虫抵抗性のあるトウモロコシを飼料として与えた家畜の糞便からは、既に除草剤耐性菌や抗生物質耐性菌が見つかっている。
人の便からもグリホサート除草剤耐性菌が見つかっている。
●グリホサート
世界中で最も使われている除草剤の主成分「グリホサート」
グリホサートは1970年代にアメリカで開発されて以降、世界で大量に使い続けられているが、人体や環境への悪影響が次々と明らかになるにつれ、世界では規制強化が進んでいる。しかし、日本は逆に規制を緩和。世界の流れに逆行している。
以前、フランスのクズサイエンスに髪の毛を送って山田さん自身の髪の毛の検査してもらったところ、グリホサートが検出された。
国会議員23人にも検査し、(川田龍平議員が映画に登場)約7割の19人から検出された。
日本人のかなりの人がラウンドアップの主成分グリホサートの耐性菌に感染しているかもしれない。
既に毎年8000人も抗生物質耐性菌で亡くなっていることはコロナ以上に大変なことである。
禁止を決めたのは、ルクセンブルク、ドイツ、オーストリア、チェコ、フランス、マルタ、メキシコ、フィジー、トーゴ。禁止へ向かっているのはイタリア、タイ、ベトナム、コロンビア。
●ドウェイン・ジョンソンさん
米カルフォルニア在住で学校の用務員だった頃校庭に「ラウンドアップ」のジェネリック製品を繰り返し散布していた。その後末期がんと診断され、がんになったのは農薬大手モンサント(Monsanto)の除草剤「ラウンドアップ(Roundup)」のせいだと同社を提訴した裁判で、陪審は10日、モンサントに約2億9000万ドル(約320億円)の支払いを命じる評決を出した。同様の訴訟がアメリカでは数万件に増えている。
ジョンソンさんの弁護団の一員で故ロバート・ケネディ(Robert Kennedy)元司法長官の息子に当たるロバート・ケネディ・ジュニア(RobertF. Kennedy Jr)氏は、「この評決をきっかけに、今後、新たな裁判が次々に起こるだろう」と述べた。この年、モンサントはドイツの製薬会社バイエルに買収されたばかりだった。
●上田市内 こどもの園園長 田口 操さん
自らも科学物質過敏症を持つ。
農薬散布する前と後の子供の絵を比較。明らかに脳に影響があるのでは?
ご自身も科学物質過敏症で農薬の影響を肌で感じている。発達障害を引き起こす神経毒である有機リン・ネオニコチノイド農薬が、子どもたちの尿から検出されている。様々な科学的データーをもとに、活動している。ネオニコチノイド系農薬は、昆虫の脳や中枢神経内にある神経伝達物質アセチルコリンの正常な働きを妨害し、異常興奮を引き起こして死に至らしめる神経毒で、日本でも稲作や野菜・果物の栽培に広く使われている。
欧州連合(EU)は2013年ごろから徐々に規制を強化。2018年には、日本でも使用が認められている主要ネオニコチノイド系農薬のうち、クロチアニジンなど3種類の屋外での使用を禁止。チアクロプリドも今年4月に農薬登録を失効させることを決めた。EUとは別に、フランスは2018年、ネオニコチノイド系農薬の使用を全面禁止した。米国も2015年、環境保護庁(EPA)がイミダクロプリドなど4種類のネオニコチノイド系農薬について、新たな農作物への使用や空中散布など新たな使用法を認めない方針を決めた。
ー以上